アトピーの症状がある方に、塗り薬として処方されることが多いステロイド。

効果が高い半面、副作用を恐れて使用を躊躇する患者さんも多いように思われます。

しかし、正しい使い方をすれば副作用の危険を減らすことができます。

ステロイドの効果と副作用、正しい使用法についてご紹介いたします。

 

 

ステロイドとは

 

ステロイド(ステロイドホルモン)とは、副腎皮質から分泌される副腎皮質ホルモンの一つで、抗炎症作用や免疫抑制作用、抗アレルギー作用があります。

ステロイドホルモンは作用によって、性ホルモン(アンドロゲン、黄体ホルモンなど)、糖質コルチコイド(グルココルチコイド)、鉱質コルチコイド(ミネラロコルチコイド)などに分類されます。

ステロイド剤として処方されるステロイドホルモンの多くは、糖質コルチコイドです。

 

 

ステロイドの種類

 

ステロイドは効果の強さに合わせてランク付けされており、5つに分類されます。

 

【Ⅰ群】Strongest(最も強力)

原則として子供には処方されない

大人の場合でも、連続使用期間は1週間以内

例:デルモベート、ジフラール、ダイアコート

 

【Ⅱ群】Very Strong(かなり強力)

部位:大人の場合は体幹部、子供の場合は腕や足などの皮膚が厚いところ

連続使用期間:大人は1週間以内、子供は数回

例:フルメタ、アンテベート、トプシム、リンデロン-DPなど

 

【Ⅲ群】Strong(強力)

部位:大人の場合は全身~体幹部限定、子供の場合は顔や陰部を除く体幹部

連続使用期間:大人は2週間以内、子供は1週間以内

例:エクラー、メサデルム、ボアラ、ザルックス、ベトネベートなど

 

【Ⅳ群】Medium(中程度)

部位:大人も子供も顔を含む全身に使用可能

連続使用期間:大人は2週間以内、子供は1~2週間以内

例:リドメックスコーワ、レダコート、アルメタ、キンダベートなど

 

【Ⅴ群】Weak(弱い)

部位:皮膚の薄いお尻や陰部にも使用可能

連続使用期間:大人も子供も2週間以内

例:コルテス、プレドニン、ベリダームメドロールアセテート、デクタンなど

 

 

ステロイドの副作用

 

ステロイド外用剤の副作用には、全身的副作用と局所的副作用の2種類があります。

 

 

【全身的副作用】

 

……… 塗ったステロイドが皮膚から吸収されて血管に入り、全身に回ることによって起こる副作用

・易感染性……肺炎などの感染症を起こしやすくなる

・高血圧

・糖尿病

・満月様顔貌(ム―ンフェイス)……代謝異常により、満月のように顔が丸くなる病気

・骨粗鬆症……骨がスカスカになり、骨折しやすくなる病気

・白内障……目の中の水晶体が白く濁ってくる病気

・緑内障……目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経に障害が起こり、

視野が狭くなる病気                     など

 

 

【局所的副作用】

 

……… 薬を塗った場所の皮膚に現れる副作用

・皮膚萎縮……皮膚が薄くなり、細かいシワができたり、血管が透けて見えたりする

・毛細血管拡張

・多毛

・ステロイド紫斑……赤い点状の皮疹や青黒いあざ、皮下出血が起こる

・しゅさ様皮膚炎……顔の皮膚に赤みが出たり、ほてっているようにみえる   など

 

 

ステロイドの正しい使用法

 

ステロイド剤の吸収率は、体の部位によって異なります。

皮膚が固く厚い部位は吸収率が低く、薄い部位は吸収率が高くなります。

 

腕の内側を1とした場合、首は6、顔は13、ひたいは6.5、頭皮は3.5、わきは3.6、背中は1.7、腕の外側は0.83、陰部は42、足首は0.42、足の裏は0.14になります。

吸収率の高い部位には弱いステロイド剤、吸収率の低い部位には高いステロイド剤というように使い分けるようにしましょう。

 

 

【塗布回数】

 

目安は1日1~2回です。

症状が治まったからとって、自己判断で使用を中止してはいけません。

急に使用を中止すると、リバウンドにより症状が悪化する恐れがあります。

症状が落ち着いてきたら、塗る回数を毎日から2日に1回、3日に1回、1週間に1回など、徐々に減らしていきます。

 

 

【塗布量】

 

チューブタイプのステロイド剤の使用量の目安となるのが、

「FTU(フィンガーチップユニット)」です。

大人の人差し指の先端から第一関節くらいの長さで、おおよそ0.5gになります。

この1FTUで大人の手のひら2枚分を塗ることが可能です。

ローションの場合は、1円玉程度の大きさが目安になります。

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【塗り方】

 

また、ステロイドを塗る際には、手の平で伸ばしてから塗るのではなく、直接皮膚に乗せてからのばしましょう。

また、すりこんだり、うすくのばしたりしないようにしましょう。

湿疹が出ている部分はでこぼこしているため、すりこむと出っ張っている部分に薬が十分に付いていない状態になってしまいます。

 

 

ステロイドは使用法を誤ると副作用が起きることがありますが、正しい使い方をすれば非常に高い効果が見込めます。

正しい使用法を身に付けて、症状の改善を目指しましょう。

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