坐骨神経痛
【はじめに:腰の痛み、原因は1つではありません】
腰痛に悩まされている60代の方は少なくありません。 中でも「坐骨神経痛」と「椎間板ヘルニア」は、多くの方が混同しやすい2つの疾患です。
- 坐骨神経痛とは「症状の名前」
- 椎間板ヘルニアは「病名」
この違いを理解することが、適切な治療とセルフケアの第一歩です。
「最近、お尻から足にかけて痛む…」
「腰が痛くて歩くのがつらい…」
そんな悩みの背後には、一体何が隠れているのでしょうか?
この記事では、
- - 坐骨神経痛とヘルニア、それぞれの特徴
- - 症状の違いや共通点 - 原因となる体の状態
- - 自分で判断するためのチェックポイント
- - 60代が注意すべきケア方法
を、専門家の視点でわかりやすくご紹介します。
腰痛でお悩みのあなたにとって、きっとヒントとなるはずです。
【第1章:坐骨神経痛とは何か?】
■ 坐骨神経痛は病名ではない
「坐骨神経痛」は、特定の病気ではなく“症状の名前”です。
坐骨神経とは、腰から足先まで伸びる体で最も長く太い神経で、この神経が何らかの原因で圧迫・刺激されることで起こる、
- - お尻から足にかけての痛み
- - 足のしびれ
- - 動かしにくさ
といった症状を総称して「坐骨神経痛」と呼びます。
■ 原因はさまざま
坐骨神経痛の原因には複数あります。
- - 椎間板ヘルニア
- - 脊柱管狭窄症
- - 梨状筋症候群
- - 骨盤のゆがみ
- - 筋肉の硬直
など、多くの要因が絡んで神経に負担がかかるのです。
【第2章:椎間板ヘルニアとは?】
■ ヘルニアとは「飛び出すこと」
椎間板ヘルニアは、背骨のクッションである椎間板(軟骨)が飛び出し、神経を圧迫する病気です。
■ なぜ起きる?
- - 加齢
- - 姿勢の崩れ
- - 長時間の座り仕事
- - 重たいものを持つ習慣
これらによって椎間板に負荷がかかり、中の髄核(ずいかく)が外に飛び出してしまいます。
■ ヘルニアの主な症状
- - 腰の激しい痛み
- - 片足のしびれや痛み
- - 前かがみになると悪化
- - 咳やくしゃみで腰に響く
【第3章:坐骨神経痛とヘルニアの関係】
■ ヘルニアが原因で坐骨神経痛になる
椎間板ヘルニアが坐骨神経を圧迫した場合、それが原因で坐骨神経痛の症状が現れます。
つまり、
- - 坐骨神経痛:症状の名前
- - 椎間板ヘルニア:原因の一つ(病名)
という関係です。
【第4章:60代に多いのはどちら?】
■ ヘルニアは若年~中年層に多い
30~50代に多く、60代になると椎間板自体の水分が減って「飛び出す」ことが減ります。
■ 60代では脊柱管狭窄症や骨の変形が原因のケースが増加
そのため、60代以上の坐骨神経痛の原因としては、
- - 脊柱管狭窄症
- - 梨状筋症候群
- - 骨の変形
などが多くなります。
■ 60代のヘルニアもゼロではない
一方で、長年の姿勢のクセや、筋肉のアンバランスからくる負担が積もると、60代でもヘルニアになることがあります。
【第5章:見極めるためのセルフチェックリスト】
◆ 坐骨神経痛の疑いが強い症状
- - お尻から太もも裏、ふくらはぎにかけて痛む
- - 長く歩くと足がしびれる
- - 足の感覚が鈍くなる
◆ ヘルニアの疑いが強い症状
- - 腰の中心に鋭い痛み
- - 前かがみになると強く痛む
- - 咳やくしゃみでズキッとする
◆ 共通の注意点
- - 痛みが片側だけに出る
- - 足の力が入りづらくなる(筋力低下)
- - 足の裏に違和感がある
【第6章:医療機関での診断方法】
■ レントゲンだけではわからない
椎間板や神経の状態を見るには、MRIやCTが必要です。
■ 徒手検査(SLRテストなど)
ベッドに寝た状態で足を上げる検査などで、神経の引っ張られ具合を確認します。
■ 診断名より大切な「体の使い方」
正確な診断はもちろん大切ですが、実際の改善には生活習慣の見直しが欠かせません。
【第7章:痛みを和らげる生活習慣】
■ 姿勢を整える
- - 座るときは骨盤を立てて深く腰かける
- - 足を組まない
- - 長時間同じ姿勢を避ける
■ 温める
- - お風呂で体をしっかり温める
- - 腰とお尻にカイロや温熱パッドを活用
■ ストレッチ&軽い運動
- - 梨状筋ストレッチ
- - ハムストリングの柔軟体操
- - 太極拳やウォーキングなど無理のない有酸素運動
【第8章:こんなときは要注意】
■ 排尿障害・排便障害が出たら即病院へ
- - ヘルニアが重度になると、膀胱や腸のコントロールに異常が出ることがあります
- - この場合、手術が必要なことも
■ 足に力が入らなくなる
- - 神経の伝達が阻害されているサイン
■ 痛みが日に日に悪化する
- - 自己判断せず、整形外科や専門家に相談を
【第9章:60代の実例紹介】
◆ 事例①:女性・65歳・主婦
- - お尻から足にかけての痛みで来院
- - MRIで脊柱管狭窄症と判明
- - ストレッチ+整体+歩き方改善で4ヶ月後には旅行へ
◆ 事例②:男性・68歳・元電気工事士
- - 腰の痛みと足のしびれが同時に発症
- - 椎間板ヘルニアと診断
- - リハビリと温熱療法で徐々に回復
【第10章:まとめ】
- 坐骨神経痛=症状名、椎間板ヘルニア=病名
- 60代の坐骨神経痛の原因はヘルニアよりも狭窄症が多い
- 痛みの出方や部位によって区別できることもある
- 生活習慣の見直しとセルフケアが大切
- 必要に応じて医療機関や整体でのチェックを
【おわりに:60代は身体と向き合うチャンス】
これまで酷使してきた体と、今一度じっくり向き合ってみませんか?
痛みは「体からのSOS」。
決して無視せず、正しい知識と行動で、今よりもっと動ける身体を目指しましょう。
あなたの腰痛が、坐骨神経痛なのか?それともヘルニアなのか? まずは理解することからすべてが始まります。