どうして自律神経が乱れるのか

自律神経が乱れる原因はいくつかあります。

精神的なストレス

適度なストレスはやる気や張り合いが出ますが、強すぎるストレスが加わると、身体や頭はそれに対抗しようとして、交感神経が優位なアクティブモードになります。

その状態が長続きすると、交感神経の働きが更に過剰になり、夜になっても副交感神経が優位にならず、疲れがとれない、手足が冷えたり筋肉がこったり、胃腸の働きが悪くなるなどの影響が表れます。

 

生活習慣や環境の乱れ

休日の前の日はいつまでも夜更かししていたり、お昼まで寝ていたり、食事をする時間がいつもバラバラだったりしていませんか?

生活リズムが狂うと、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかずに乱れる原因です。また、運動不足も自律神経の乱れに影響します。
生活環境の乱れでは、特に夏場の過度なエアコンの使用が体温調節を乱し、自律神経が混乱してしまいます。

 

ホルモンの影響

特に女性であれば、女性ホルモンは自律神経に大きな影響を与えています。

大脳の視床下部という場所は、自律神経の働きをコントロールしているところですが、その視床下部の近くの脳下垂体はホルモンを分泌しています。また、視床下部自体がホルモンの影響を受けることもあるため、ホルモンの変化のリズムが自律神経の働きにも影響を及ぼします。

ホルモンのバランスが不安定になると、それにつられて自律神経のバランスも不安定になってしまうのです。

 


自律神経失調症で訴えの多い症状

神経のバランスが崩れることによって起こる自律神経失調症は、その人自身の性質も相まって、起こる症状もさまざまです。
ここでは代表的な症状をご紹介します。

めまい◎

自律神経失調症の症状として多く訴えられるのがめまいです。
めまいが起こって内科や耳鼻科を受診しても、異常なしと言われてしまいます。
確かに内耳や中耳には異常はないのでしょう。
耳自体に異常がないめまいは、自律神経失調症の可能性が高いのです。

【ぐるぐるめまい】

ある日突然ぐるぐるする回転性のめまいが起こり、吐き気や冷や汗を伴うことがあります。ぐるぐるめまいは、内耳の奥の三半規管に水が溜まることで起きると言われています。なぜ水が溜まるかと言えば、やはりストレスが一番関係しています。

ぐるぐるめまいの人のうち、耳鳴りや難聴、耳の閉塞感の症状もあり、数日から数カ月で繰り返すとメニエール病と診断されます。メニエール病も自律神経失調症のひとつです。

【ふわふわめまい】

雲の上を歩いているような、などと表現されるふわふわするめまいも自律神経失調症に大きく関わります。頭の重さや頭痛を同時に訴える人もいます。

過度なストレスが主な原因で、程度としては軽いものの症状が持続します。ふわふわめまいの中には、時に脳が原因の場合があります。めまいの他に手足のしびれや麻痺、言語障害などの症状があるときは必ず病院で診察を受けましょう。

 

不眠◎

不眠も自律神経失調症の症状として多くあります。

上で述べたように、交感神経が優位で副交感神経が働かないため、リラックスできずにいつまでも眠気が訪れず、眠れないのです。

また、交感神経は日中に、副交感神経は夜間に活発になる特徴もありますが、それが反対となり、昼夜逆転してしまいます。

不眠は3種類のタイプに分けられます。

ひとつだけ当てはまる場合もあれば、複数当てはまる場合もあります。複合タイプの方が症状は重く、悩みも深い人が多いです。

ひとつでも当てはまるときは、自律神経が乱れ交感神経の興奮状態が続いているからだと考えて良いでしょう。

胃腸の不調◎

自律神経失調症での胃腸の不良は多岐にわたります。

・食欲不振
・消化不良(胸焼け)
・吐き気
・便秘
・下痢

胃腸は副交感神経が優位になったときに活発に活動します。

しかしストレス等を抱え、交感神経が優位だと(アクセル踏みっぱなし状態)副交感神経が働かず、胃や腸の働きも鈍り消化する力も弱くなります。

 

自律神経失調症の中には大腸に明らかな腫瘍や炎症がないのに、数ヶ月にわたって便秘と下痢を繰り返す症状として過敏性腸症候群があります。

通常、腸では水分や栄養素の吸収をします。

しかし、過敏性腸症候群ではこれらの働きが、時間的に極端に短かったり長かったりしている状態です。

交感神経が極端な場合を便秘型、副交感神経が極端な場合を下痢型と分類されます。

 

過敏性腸症候群の人は胃腸症状以外にも頭痛、めまい、不眠などの自律神経失調症状を訴えることが多く、やはり自律神経と深い関係があるのが分かります。

 

頭痛◎

頭痛は大きく分けて「筋緊張型頭痛」が約7割、「偏頭痛」が約3割を占め、どちらも自律神経と関わっています。

【緊張型頭痛】

交感神経が優位になり、その状態が長期間続くと(アクセル踏みっぱなし)、
頭~首や肩周りの筋肉が緊張して固くなり、神経が圧迫されて頭痛となります。
頭全体が締め付けられるような痛みがあり、肩こりや首こりを伴います。

 

【偏頭痛】

脳の血管が過剰に拡がり、周囲の神経が圧迫されて頭痛となります。

血管の拍動にあわせたズキンズキンという痛みが特徴です。血管を拡張させているのは副交感神経ですが、これは交感神経優位の状態が長く続いた反動で起こると言われています。

平日に仕事などでずっと緊張状態が続き、休みになるとその反動で副交感神経が過剰に優位になるため、休日に痛みを訴える人が多いのです。

 

動悸◎

動悸とは
心臓拍動
自分で感じられる状態
を言います。

「胸がドキドキする」と表現されることが多いですが、必ずしも心拍が上昇しているわけではありません。安静時に動悸がすることもあります。

運動時に心臓のドキドキを自覚するのは生理的現象ですので、それとは別物ということです。心臓の疾患では不整脈、狭心症、心筋梗塞の症状として動悸があります。

その他では、バセドウ病や低血糖、貧血でも動悸の症状が表れます。

動悸が続く場合は、まず病院で診察を受けましょう!その結果、どこにも異常がないとしたら自律神経症状としての動悸の可能性が高くなります。ストレスや忙しさからイライラすると交感神経が過剰に興奮し、血管が収縮して心拍数が上がります。

上記のような状態が続くと、安静にしていても副交感神経との切り替わりが上手くいかずに動悸が起こってしまうのです。

 


自律神経失調症はなぜ春に起こることが多い!?

みなさん、春と言えばどんなイメージですか?長く暗く寒い冬が終わり、出会いの季節、新しい季節、ぽかぽか陽気、まぶしい太陽、草花の芽吹き・・・

というような明るいイメージを持っている人が多いと思いますが、実は自律神経失調症を訴える人が多くなるのも春なのです。

冒頭でも述べた、いわゆる「季節の変わり目」です。

なぜ希望いっぱいの春の季節に、自律神経失調症の人が増えるのでしょうか。
それは気温や気圧、環境の変化が関係しています。

 

気温の急激な変化

この時期は「昨日は暖かかったのに今日は寒い」「昼はぽかぽかだけど、夕方から急激に冷える」など、日ごとの気温や、1日の寒暖差が非常に激しいですよね。

とある年の3月の気温を調べると、1週間の中で約15℃も最高気温に差があったことが分かりました。寒暖差が大きいと、それに身体が対応するために交感神経が優位になりっぱなし(アクセル全開状態)。エネルギーも大量に消耗し疲れやだるさを感じやすいのです。

また、交感神経がずっと緊張状態だと、副交感神経とのバランスが崩れやすくなり自律神経症状を引き起こします。

 

気圧の目まぐるしい変化

春の嵐と言われるような、高気圧と低気圧が次々と入れ替わるこの時期は、交感神経にも副交感神経にも影響が大きくなります。

そもそも気圧とは字のごとく「空気の圧力」です。

私たちの身体は常に空気の圧力を受けているのですが、身体の内側からそれと同じ力で押し返しています。そうでないと、ぺちゃんこになってしまいますから。

その調整を行っているのが自律神経ですが、気圧の変化が大きいと対応しきれず混乱してしまうのです。

 

生活環境の変化

3月、4月は卒業入学をはじめ、進学、入社、転勤、異動など自身や家族が新生活をスタートする時期でもあります。

知らず知らずのうちに身体も気持ちも緊張し、少なからずストレスを感じています。
それにより自律神経の乱れが起こり、症状が現れてしまうのです。

新生活でずっと緊張していて、休日にふっと気が緩んで体調を崩すというのは誰しも一度くらい経験があるのではないかと思いますが、まさに自律神経の乱れにより起こった症状と言えるでしょう。

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