ヘルニア2 ~鼠径ヘルニア~


鼠径ヘルニア、聞いたことがありますか?

3回にわたり、整体と深く関わりのある

腰椎椎間板ヘルニア鼠径ヘルニア頚椎椎間板ヘルニア

についてお話しています。今回は鼠径ヘルニアについてお話します。

3つのヘルニアで、一番馴染みがないのがこの「鼠径(そけい)ヘルニア」ではないかと思います。

一般的には脱腸とも言われるのですが、そう言われてもイメージできる人は少ないでしょう。大きな誤解として、肛門から直腸が飛び出すことだと思われている方もいます。
実はこちらは「脱肛(だっこう)」と言って、文字でこそ一字違いですが全く別のものです。

 


鼠径はどこ?

鼠径というのは、太ももの付け根のあたりを指します。
鼠径ヘルニアは、この太ももの付け根の部分にある鼠径管(お腹と外をつなぐ筒状の管)に、本来出てくるはずのない腸の一部が飛び出してきてしまう病気です。

飛び出すと言っても、皮膚を破って身体の外に出てくるわけではありません。見た目は足の付け根の部分がポコッと膨らんだ感じになります。
お腹に力がかかった時、特に立ち上がった時に飛び出してくるのが特徴で、触っても痛みはなく、押すと引っ込みます。

 

症状

鼠径ヘルニアの初期症状は飛び出した部分も小さいため、あまり気にはならないほどです。ヘルニア部分がだんだんと大きくなると

・   痛み 
・不快感

を伴い、病院を受診する人が増えてきます。

そのまま放置すると、飛び出した部分が硬くなり、押しても引っ込まなくなる「嵌頓(かんとん)」という状態になってしまいます。
嵌頓すると、腸内が詰まり、腹膜炎や腸閉塞の症状である腹痛や吐き気が起こります。
また、長時間圧迫されていることにより飛び出した腸が壊死してしまうこともあり、感染しやすくなり命にかかわります。

鼠径ヘルニアは小児期に先天的なものとして多い一方で、実は中高年の男性にも多い病気です。加齢による内臓筋肉の衰えや、姿勢・動作(内臓下垂・不自然な腹圧)、体重の増加、体重の減少、過労、そして、精神的なストレスなどが考えられます。働き盛りの年代の男性は、誰しも大きなストレスを抱えているでしょう。

身近なところでは、咳・くしゃみや排便時の腹圧がきっかけになることもあります。喫煙者で咳をよくする人も、鼠径ヘルニアになる確率が上がります。

女性より男性の方が多いのには訳があり、鼠径管のサイズが女性の方が小さいため、比較的脱腸しにくいのです。

 


鼠径ヘルニアの種類

 

1.外鼠径(間接)ヘルニア

鼠径ヘルニアの中で最も数の多いヘルニアで、鼠径部の外側にふくらみが出来ます。
身体の右側に多く見られる傾向があります。

2.内鼠径(直接)ヘルニア

中高年の男性に多く、外鼠径ヘルニアよりやや下の場所に脱腸してしまいます。

3.大腿ヘルニア

中年以降の出産した女性に多く見られ、もっとも嵌頓を起こしやすいヘルニアです。
太腿管という管を通って小腸などが出てきます。

 


鼠径ヘルニアの治療方法

アメリカでは専門医もいるほどのメジャーな病気ですが、日本では聞きなれないうえ、部位が部位だけに恥ずかしさが勝ってしまうので、大きな症状がなければ放っておく人も多いのが鼠径ヘルニアです。

 

しかし、放置していても勝手に治ることはありません。

 

症状が進んで嵌頓ヘルニアから腹膜炎や腸閉塞となると、命にかかわることもあり得ます。そうならないためにも、違和感があれば、ひとまず病院を受診しましょう。
病院では手術するしかない、と言われることがほとんどです。

嵌頓ヘルニアではなく、症状が特にない場合は手術に急を要しませんが、「家族や友人と温泉に行っても楽しめない」「痛くはないが違和感があって気になる」など、生活の質が低下していると手術を勧められるでしょう。

 

鼠径ヘルニアの手術

鼠径ヘルニアの手術は以前に比べ、格段に進歩しています。
筋膜と筋膜を縫合していた時代は、痛みやつっぱり感が残り、1週間ほどの入院も必要でした。現在は、鼠径部の筋膜のすき間を、メッシュ状のシートで塞ぐ方法が一般的です。入院の必要がない日帰り手術を行っている医療機関も多くあります。

 


鼠径ヘルニアの原因

手術と言われるとやはり身構えてしまうもの。
医療技術が進歩した現代でも、やはりリスクはゼロではありません。
きちんと鼠径ヘルニアだと診断されたら、そのときに今一度、なぜ鼠径ヘルニアになってしまったのかを考えて今できることから対処していきましょう。

 

鼠径ヘルニア原因
加齢による内臓筋肉衰えや、便秘体重増加
などが関係しています。

 

それらは全て「内臓下垂」につながります。
内臓下垂になるか、ならないかは、【立ち方、座り方、楽な体勢などの普段の姿勢】でわかります。姿勢の悪さ、いわゆる猫背は肩や腰、背中が丸まった状態であることは、知っている方も多いでしょう。
猫背は立っている時に、骨盤が前に倒れた状態になります。

そうすると、内臓を支える筋肉が緩むため、内臓が下がりやすくなってしまいます。
内臓下垂が猫背をさらに進行させることも分かっています。
こうなると悪循環ですね。

猫背を改善すると腰部や鼠径部に負担がかからなくなります。
下垂した内臓も元の位置に戻ります。
そして、結果的に鼠径ヘルニアだけでなく腰痛、肩こりなどの症状も連動して改善していくのです。

愛YOUカイロプラクティック院では、鼠径ヘルニアのような一見整体とは関係のなさそうな疾患でも、全身の調整を行い改善してきた例が多数あります。

病院で手術と言われ躊躇している方、鼠径部への違和感から、日常生活を楽しめない方は一度ご相談ください。

 

次回は、首のヘルニア「頚椎椎間板ヘルニア」のお話です。

 

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