82歳 女性
右肩の痛み
右腕が動かしにくく、特に寝る時に痛みが出て痛すぎて眠れない状態が半年続いていました。病院でMRIを撮っても異常がなく、1月にご来院の際には、冬だから寒くて肩が冷えるせいで痛いのかもしれない。それとも歳のせいかしら。肩の痛みとは付き合っていく他ないのかなと気を落とされていました。
体の状態を診させていいだくと、腕自体の筋肉のこわばりもありましたがそれよりも重要だったのが、骨盤の中の仙骨と言われる骨の部分でした。座った際に骨盤が後ろに倒れている状態で仙骨も後ろに倒れている座り方をされていました。この座り方を繰り返していると、仙骨と背骨の境目にある腰仙関節が倒れている状態で背筋が固まってしまいます。
座り方がよくないと腰仙関節が固まる
ご本人は腕が痛いので腕が良くないと思っておられましたが、実際症状を見ていくと、仙骨が悪いせいで肩に痛みが出ている事が分かりました。この仙骨を起こす施術を施し、腰仙関節を緩めて背骨の並びが綺麗になるようにすると腕が上がりやすくなり、痛みが減るようになります。
肩に痛みが出なくなるまでの施術回数は7回でした。ご高齢の方によくある傾向ですが、施術の3~4回目はあまり変化が感じられませんでした。しかし5回目になると、肩の痛みが減ってきます。ご本人の感覚でも来院当初の痛みが10割だとすると5回目を終えた後では日中の痛みは2、3割に落ち着き、夜や就寝時の痛みは半分くらいになったと感じるようになられました。
7回目の施術にお越しになった時には、夜もすぐ寝られるようになり、日中はほとんど痛みを感じなくなったと実感いただきました。
快く写真を撮ってくださりありがとうございました。
仙骨とはどこにあるでしょうか
仙骨は骨盤の真ん中の骨を指します。
仙骨
この仙骨が座った時に後ろに傾いている骨盤の状態を後傾(こうけい)といいます。この後傾の姿勢は、お年寄りに多い姿勢です。
背中が丸くなった姿勢
仙骨は通常は座っている時、寝ている時など椅子や地面にあたって圧迫をうける骨ではありません。しかし後傾すると地面に仙骨が当たるようになるので仙骨が圧迫を受けるようになります。
接地面に仙骨があたる
では本題です。
仙骨が圧迫を受けるとなぜ、腕の症状が出てくるのでしょうか。
仙骨が倒れてくると背骨が後ろに弯曲していきます。
背骨が弯曲すると肩甲骨が外側に開いていきます。この肩甲骨が外側に広がっていくせいで肩が上がりにくくなります。肩甲骨が通常の位置から前に出ると肩関節に影響が出てきます。
肩関節の仕組み
肩関節は、肩甲骨、鎖骨、上腕骨の3つが組み合わせって形成されていますが、肩甲骨が前側というか外に引っ張られるとこの関節部分も変わってきます。この受け皿の所に変形が出てくるので腕を動かそうとすると引っ掛かってしまい痛みが出やすくなります。
肩甲骨のずれ
実はもう一つ
先程は仙骨が後ろに倒れている後傾しているので結果的に右の腕の所に症状が出ていると言いましたが、腕の上腕骨に痛みが出るのにはもう一つ理由があります。それは骨盤のねじれです。特に右の腰部ですね。脊柱起立筋、腰方形筋という筋肉が通っていますがここが左に比べて、ガチガチに固まっていました。
骨盤の捻じれ図
腰方形筋
右上腕部には回盲の反射点があります。回盲部とは小腸から大腸の移行境目の周辺の領域の事です。このあたりにトラブルがあると反射点として肩に症状が出るというパターンがすごく多いのです。右の腰部が緊張しているせいで回盲部にストレスが入って結果的に症状を出しているという事もあったのでこの横の捻じれをとり、右の腰方形筋の緊張を取ると結果的に回盲部のストレスが無くなり症状が取れたという面もあります。