アトピー性皮膚炎にはいくつかの段階があります。その中でも、浸出液が出る段階から皮膚の回復が行われる段階の間は、乾燥した皮膚が裂けるように痛む時期があります。皮膚が引っ張られて、動くだけでも痛い、とても辛い段階です。
この段階を乗り越えることで皮膚の回復が進み、アトピー性皮膚炎の改善へとつながるのですが、あまりに痛いので乾燥を止めようとオイルやクリームで保湿を行うと回復を遅らせてしまうことがあります。今回はアトピー治療の段階でも痛みの辛い乾燥の時期に気を付けること、やってはいけない事について書いていきたいと思います。
◆アトピー治療の段階◆
まず、アトピーの治療における、症状の段階について簡単にまとめておきます。
一番症状の重たい状態が、浸出液(あるいはリンパ液)の出る時期。いわゆる「汁の出る」段階です。皮膚に炎症の起きている状態から回復するために、身体が防御反応として浸出液を出します。ステロイドホルモンなどはこの浸出液の代わりに皮膚を守る効果があるので、脱ステロイドをするとより多く汁が出る場合があります。しかし、これはもともとの機能なので、むしろ正常に回復し始めている証と言えます。
次に、浸出液が出なくなり、皮膚が乾燥していきます。痛みを感じやすいのがこの段階です。じゅくじゅくしていた皮膚が乾燥するので、厚くひび割れた「像の皮膚」のように言われたりもします。
やがて正常に回復が進むと乾燥した皮膚の下で新しい皮膚が再生し、かさぶたが剥がれ落ちるように生まれ変わっていきます。この頃になると痛みも楽になってくるので、如何に早くこの段階に移れるかが大事ですね。
新しい皮膚に回復していく中で、鳥肌のような状態や赤い湿疹の出る時期を乗り越え、健康な綺麗な状態へ改善していきます。
◆痛みは改善の前兆◆
アトピー治療の段階はおおよそ前述のようになっています。一番痛みが出る乾燥の時期を乗り越えれば目に見えて回復していくのが分かるのですが、あまりに痛みが強かったり、動くだけで皮膚が裂けるような感覚はとても不安になりますよね。
けれど、言うなればこの痛みが「生みの苦しみ」であり、新しい綺麗な皮膚を作るためには避けては通れない道です。なので、大事なのは痛みを無くすことではなく、出来るだけスムーズにより早く次の段階へ移ることです。そのためには、何かをすることより、してはいけないことに気を付ける必要があります。
◆綺麗な皮膚を作るために“やってはいけないこと”◆
じゅくじゅくとしていた皮膚が、浸出液を出す必要が無くなることで乾燥していきます。つまり、炎症が治まってきたということですね。次は古い皮膚から新しい皮膚への代替わりとなるのですが、この時にやってはいけないことがあります。
それは「保湿」です。乾燥してひび割れている、というのは通常の皮膚では良くないことですが、アトピーの治療段階においては必要なことなのです。新しい皮膚が乾燥した皮膚の下で作られている間は、かさぶたとしての役割があります。そのかさぶたにオイルやクリームなどを使って保湿しようとすると、新しい皮膚を作る邪魔になってしまうのです。
イメージとしては蓋の上にさらに蓋をするようなもので、一番下の新しい皮膚からすると息苦しいのです。出来るだけ早く次の段階に移るためには、乾燥しているからと言って保湿をしようとしてはいけません。
乾燥して痛みがある段階でやって頂きたいのは、新しい皮膚を作るために必要なこと、つまり新陳代謝を促進することです。特にお風呂にゆっくりと浸かり、全身浴をすると効果的です。もちろん、汗がかゆみや湿疹になることもあるので、無理のない範囲で大丈夫です。
◆まとめ◆
アトピーの改善までには段階があり、その中でも乾燥の時期は皮膚が裂けるような痛みが続くことがあります。辛い時期ですが、ここを乗り越えることが出来ればアトピーの改善が目に見えてわかるようになってきます。
一度傷んでしまった細胞を新しい細胞と入れ替えるためなので、なんとか乾燥を防ごうとしたり、表面の皮膚を剥がしてしまわないように注意しましょう。古い皮膚の下では、新しい綺麗な皮膚が誕生しようとしています。
痛みもある上に乾燥した肌を見られたくない、と辛い思いをされるかも知れません。そんな辛い思いを一刻も早く無くすためには、必死に皮膚を作り変えているご自分の身体を信じてみてください。
しっかりと治療すれば、きっと良くなります。諦めないでください。
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