みなさんは、「開張足」という症状をご存知でしょうか。開張足とは、偏平足と同様に、足裏のアーチが崩れてしまうことにより起こる症状です。「偏平足」は聞いたことがあるけれど、「開張足」は初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか。
開張足は、外反母趾を引き起こす要因のひとつであり、外反母趾になってしまった人の多くは開張足です。また、女性は男性よりも開張足になりやすく、女性の外反母趾発症率は約8割にもなります。今回は、そのような開張足についてご紹介したいと思います。
【開張足とは】
開張足は、足の裏にある横アーチがなくなることによって起こります。本来、足裏には、縦方向に内側と外側の2本のアーチがあり、横方向に1本の合計3本のアーチがあります。これらのアーチは、「中足靭帯」と呼ばれる靭帯によって形成されており、横アーチを形成している中足靭帯を、「深横中足靭帯」と言います。
開張足は、靭帯が伸びたり、緩んだりすることによって引き起こされます。深横中足靭帯が伸び、横アーチがなくなると、足幅が広がり、甲が薄くなります。また、骨が浮き出て筋張って見えることもあります。これらが、開張足の特徴です。
深横中足靭帯が伸びる原因は、運動不足や肥満、遺伝、足に合わない靴であると言われています。加えて、足指を使わない歩き方も要因の一つとなっています。
【なぜ開張足は、女性に多いの?】
開張足は女性特有の症状だと思われている方も多いかと思いますが、実は、開張足になるのは、女性だけではありません。では、なぜ女性の方が開張足になりやすいのでしょうか?
大きな要因の一つに、女性は男性よりも筋力が弱く、関節も柔らかいということがあります。筋力が弱いと重力の影響をうけやすく、親指の踏み込む力が重力に負けてしまいます。そのため、親指が浮いてしまい、歩行時に親指の代わりに親指の付け根(第1中足骨)を使って歩くようになります。このような歩き方を繰り返すと、横アーチを形成している中足靭帯が緩み、開張足になりやすくなります。
また、女性はヒールが高い靴を履く機会が多いです。パンプスなどヒールの高い靴は、靴の中で前滑りを起こしやすく、足指を締め付けることになります。締めつけによって足の指が動かせなくなると、足裏の筋肉が低下し、横アーチがなくなってしまうのです。
【開張足によって引き起こされる症状】
開張足が進行すると、様々な症状が出てきます。
・外反母趾:足の親指が小指側に曲がり、付け根の部分が痛みます。
・内反小趾:外反母趾の反対で、足の小指が親指に曲がります。
・中足骨骨頭痛:中足骨という足の甲に位置する骨の先端部分、特に、足の人差し指や中指の付け根に痛みが出ます。
歩行時に足指を使わず、この部分を地面打ち付けているために痛みが生じます。
・モートン病(モルトン病):足の中指と薬指の間、または人差し指と中指の間に、痺れや焼け付くような感じ、強い痛みなどが現れます。
中足骨骨頭痛と症状は似ていて、痛みが生じる部分が、骨か神経かのちがいによって分けられます。
・タコ・魚の目
ヒールの高い靴は、もともと開張足になりやすい女性の足にさらに負担を与えます。しかし、女性の場合、仕事上どうしてもヒールのある靴を履かなければならないということもあるかと思います。
その場合は、日頃から足のケアをしてあげることが重要です。ケアの仕方が良く分からなかったり、自分ではケアが難しい場合には、ぜひ一度、整体を受けてみられるのはいかがでしょうか。開張足の段階から施術を受けることによって、外反母趾になることを予防することができますよ。